「アーバスの写真を見ることが文句なく試練であるかぎりは、それらの写真はちょうどいま、洗練された都会人の間で人気のある芸術の典型的な種類、自ら志願した肝試しであるところの芸術なのである。彼女の写真は、人生の恐怖は吐き気を催さずに対面できるのだということを実証する機会を提供している。この写真家は一度は自分に向かって、よし、引き受けた、といわなければならなかった。写真を見る人にも同じように請け負うことを求めている」
(「写真論」 スーザン・ソンタグ 近藤耕人訳 晶文社)