「このようなこわばった表情は、ダゲレオタイプの撮影に必要とされた長い露光時間によるものである。ダゲレオタイプが発明された当初は、一回の撮影に二十分から三十分もの露光時間が必要とされた。のちに感光剤が改良されて露光時間は徐々に短縮され、1840年代後半には十秒から一分の間で撮影することが可能になった。とはいえ、長い露光時間中に身動きせずにいることは子どもでなくても苦痛を強いられるような経験だったに違いない。」
(「写真を<読む>視点」 小林美香 青弓社 2005年)