この点、コノリーは、リベラルな個人主義の問題点を次のように語る。
「第一にリベラルな個人主義は、正常な個人を中心に据えるために、多様性の主張に対して冷淡なものとなり、非合理性、無責任、不道徳、
非行、倒錯というような異常と定義された空間に、多様性のための空間をあてはめるように個人に強いる。
第二にリベラルな個人主義は、正常な個体性の基準に固執するため、ルサンチマンを一般に醸成するのに手を貸す。そのため、
「実存の豊穣な多様性」-ニーチェならそう呼ぶだろう-を評価する倫理を肯定することは、
正常な個人にとっても異常な個人にとっても困難となる。
第三に、その法的な政治の概念は、リベラルな社会に個体性のための空間を設けるのに必要な政治的行為、戦闘。
闘争の度合いを軽視するきらいがある。」
(「ハンナ・アーレント入門」 杉浦敏子 藤原書店)
コノリー:Connolly, William E.、ウィリアム・コノリー、
引用文は、「アイデンティティー/差異 他者性の政治」 杉田敦也訳 岩波書店 から
参考:"http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/dw/connolly.htm">ウィリアム・
コノリー