2007/02/16

小型カメラの登場

「写真機材の発達で画期的な一歩を記したのが、小型カメラの登場である。
1924年にエルマン社が発表した小型カメラのエルマノックスは、当時としてはコンパクトかつ軽量なボディで、
容易に持ち運びができるものであり、大口径の明るいレンズが採用されていたため、
マグネシウムのフラッシュを使わなくても暗い場所で撮影ができるようになった。翌25年にはライツ社が小型カメラのライカⅠ型を発売した。
これは、三十五ミリ版の映画用フィルムを使って本体を小型化するとともに、連続撮影を可能にした革命的なカメラである。
これらの小型カメラは、開発当初は従来のカメラに比較して画像の粒子が粗く、鮮鋭性に欠けるなどの欠点があったものの、
それまでにはありえなかった視点や状況での撮影を可能にした。小型カメラによって撮影された写真は、
フォトジャーナリズムに大きな転換をもたらした。つまり、小型カメラで捉えられた写真は、
記事を説明するために添えられる補助的な図版としてだけでなく、それ自体が読者の注意を引き付けるものとなり、
掲載された新聞や雑誌の売り上げを左右するほどの位置を占めるようにもなっていったのである。」


(「写真を<読む>視点」 小林美香)