ダイアンの死後、彼女の焼付けをしたニール・セルカークによれば、「ダイアンはほとんどリリースを取れなかった」という。ダイアンが生きていたら、彼女の作品をこれほど広範に展示するのは難しかったことだろう。モデルの多くが、ダイアンの表現に強い不満を抱いていたからだ。しかし、セルカークが言うように「本人が死んでしまったので、彼らはどうしようもないと思った」のである。
(「炎のごとく 写真家ダイアン・アーバス」 パトリシア・ボズワーズ 名谷一郎訳 文藝春秋 P441脚注)