リーナに、わたしの恥を話そうと思う。わたしが裕福で美しかったことを、どんな男にももったいないような娘だったことを。
物のように捨てられたことを。十八にして頬から美しさが消えてしまったことを話そう。恥辱とともに湖に身を沈めた女達のように、
身投げしようとしたことを。その男を憎むあまり、おなかの赤ん坊を殺してしまったことも。
その赤ん坊は、生まれる前に子宮から取り出してしまった。当時の中国では、生まれる前に赤ん坊を殺すのは悪いこととされていなかった。
それでも、悪いことをしたとわたしは思った。その男の長男の赤ん坊が体内から引き出されたとき、どす黒い復讐の念がわたしを満たしたからだ。
死んだ赤ん坊をどうしようかと看護婦からきかれたとき、わたしは新聞紙を放り投げて、魚みたいにそれに包んで湖に捨ててくれと頼んだ。
娘は、赤ん坊などいらないと思う気持ちがわたしにはわからないだろうと思っている。
娘の目には、わたしは小柄な老婆にしか見えない。それは、娘が外側の目だけでものを見ているからだ。彼女には”ツォンミン”-
内側を見通す力はない。娘に”ツォンミン”があれば、虎の女が見えるはずなのに、そして、畏れを抱くはずなのに。