2007/06/02

レーガンとサッチャーの成功

レーガンとサッチャーの成功はさまざまな形で評価することができるだろう。
だが次のことを強調しておくことは非常に有意義であるように思われる。すなわち、彼らが、これまで少数派だった政治的・イデオロギー的・
知的立場を採用し、それを一気に主流の地位に押し上げたことである。


彼らがその形成に助力した諸勢力の同盟関係と彼らが率いた多数派勢力とは、
次世代の政治的リーダーたちが取り除きたくでも取り除けない遺産となった。レーガンとサッチャーの成功を最もよく証明するのは、おそらく、
クリントンやブレアにとって政治的に立ち回る余地が非常にかぎられていて、
たとえ自分のよりましな本意に反しても階級権力の回復プロセスを維持する範囲内にとどまらざるをえない状況下に置かれたことであろう。


そして、ひとたび新自由主義が英語圏の世界に深く根づくと、
資本主義が全体として国際的に機能しているその仕方に新自由主義がかなり適合的であるという事実を否定することが難しくなった。このことは、
われわれが後で見るように、英米両国の影響力と権力が新自由主義をいたるところで押しつけたにすぎないと言っているわけではない。
この二つのケーススタディが十分に示しているように、国内状況やその後の新自由主義的転換の性質は、
イギリスとアメリカではかなり異なっており、この点を敷衍して考えるなら、どこにおいても、
外部の影響や強制のみならず国内の諸勢力もまた決定的な役割を果たしているという予想が成り立つだろう。


(『新自由主義』 デヴィッド・ハーヴェイ 渡辺治監訳 作品社 P88-89)