マルクスは、資本主義が西洋で自滅するだろうと予想しましたが、逆に東洋においてマルクス主義の下、開花しています。たしかに、
今日最大の矛盾の一つは、極東のマルクス主義的な資本主義の存在でしょう。
したがって、21世紀の企業は必然的に、資本主義のこの新しい顔をしっかり認識しなければなりません。そこでは、
弁証法が富と利潤に仕えているのです。戦いはもはや資本主義対社会主義ではなく、資本主義における二種類のマネジメント・
スタイルの間に存在します。
第一の欧米型は、ニューロン・タイプのマネジメント・スタイルを発展させ、企業組織は脳と同じく、中枢部がなく、
固定した権力のないまま結合体のように機能します。
第二の中国型は、はるかに明確に序列化されたモデルを土台としており、自由な発意と強力な国家の存在を巧みに組み合わせています。
この例からもわかるように、グローバル化とはストレンジネス効果と相容れないものではありません。
世界はグローバル化されているとはいえ、依然多極であり、アメリカの資本主義と中国の資本主義との間には構造的な不一致が存在します。
日本は必然的に、これらの二つの間に自分の場所を見出していかなければなりません。
欧米の資本主義と極東の資本主義のどちらを選択するのではなく、日本は弁証法という力を巧みに操り、両者の間をうまく貫くべきであると、
私は考えます。
これら二つの構造を可塑的に弁証法化しうるようなモデルが見出せれば、全体的な市場の自由化(欧米)と高度な国家管理主義(極東)
との間に新たな均衡を提唱することになるでしょう。その意味において、たしかに驚くような発明になると思われます。
今後日本は間違いなく、これら二種類の資本主義の両方を同時に見据えていかなければならないでしょう。新たな思弁的な挑戦です。
労働の可塑性が労働の柔軟性に代替できるとしたら、それはおそらく、二種類の資本主義を統合することにおいてでしょう。
(哲学者 カトリーヌ・マラブー氏インタビュー ダイアモンド・ハーバード・ビジネスレビュー 2007年4月号)