優れた小著「無知な先生」(The Ignorant School Master,trans,Kristin Ross.)
においてジャック・ランシエールはひとびとをあつめるものは集成あるいは集団性ではないと主張している。その反対に、
「お望みならば、真理が集めるといってもよい。だが、ひとびとを集めるもの、ひとびとを結び付けるものは、非集成なのだ。
人々が結び付くのは彼等がひとびとだからである、つまり、ひとびとがお互いにはなれた存在だからである。言語は彼等を結び付けない。逆に、
言語の恣意性こそが彼等に翻訳を強いることによって彼等に伝達するよう努力させる。と同時に、
言語の恣意性は彼等を知性の共同体のなかに置くことになるのである。」
(「多言語主義と多数性」 より脚注(7) 酒井直樹)