2001年には、全世帯のトップ1%が、全米の富の33.4%を保有し、次の4%が25.8%、要するにトップ5%が60%の富を握り、次の15%が25.2%、合わせてトップ20%が84.4%の富を握っている。
同じ数字を時系列で見ると、約20年前の1983年には、トップ20%の持ち分は全体の81.3%だったから、3.1%増加したことになる。この3.1%は、2番目の20%から1.3%(12.6%から11.3%)、3番目の20%から1.3%(5.2%から3.9%)、そしてボトム40%から0.6%(0.9%から0.3%)ずつを吸い上げたものだ。
そして20年間に一番シェアを増やしたのが、トップ2~5%、資産価値でいうと100万ドル強から500万ドルのアッパーミドルで、株価や不動産価値が上昇した恩恵を享受した。第一章で解説した「プロフェッショナル層」たちである。
次に金融資産だけに限ってみると、上位集中は一層顕著になる。トップ1%がほぼ4割を押さえ、上位5%で3分の2を押さえているから、残り95%の世帯持ち分はさらに小さくなる。これは大半の世帯の主要資産が、持ち家であることを反映している。だから上位20%の金融資産シェアは91.3%に達し、次の20%の持ち分7.8%を足すと99.1%
になる。つまり全世帯の上位40%がほぼ全ての金融資産を持っているわけで、残る60%には金融純資産は全くなく、あるのは借金のみということになる。
になる。つまり全世帯の上位40%がほぼ全ての金融資産を持っているわけで、残る60%には金融純資産は全くなく、あるのは借金のみということになる。
さらに金融資産の中から、年金や生命保険などの収入予備的な資産を除き、
投資としての金融証券に限定してみると、トップ1%のシェアは58.6%、次の9%のシェアが30.6%で。トップ10%
の持ち分は実に88.6%に達する。
投資としての金融証券に限定してみると、トップ1%のシェアは58.6%、次の9%のシェアが30.6%で。トップ10%
の持ち分は実に88.6%に達する。
つまりウォール街は、人口のトップ1%をハッピーにしておけば、全米の金融資産の6割を押さえることができ、10%をハッピーにすれば、9割を押さえることができる。
こうした富の集中は、アメリカの税政策や金融政策に深長な意味を持っている。
なぜなら、民主国家の政策を決めるのは選挙に当選した大統領や議員であり、選挙で勝つための最大の武器は選挙資金だからだ。
なぜなら、民主国家の政策を決めるのは選挙に当選した大統領や議員であり、選挙で勝つための最大の武器は選挙資金だからだ。
大統領選挙では4年ごとに10億ドル近い選挙資金が集められる。
1000億円を集めるためには、小口の資金を集めてもどうにもならない。1億円単位の寄付を、1000近く集めなければならないわけだから、候補者の目がどこに向くのかは言うまでもない。
1000億円を集めるためには、小口の資金を集めてもどうにもならない。1億円単位の寄付を、1000近く集めなければならないわけだから、候補者の目がどこに向くのかは言うまでもない。
(『超・格差社会 アメリカの真実』 小林由美 日経BP社)