2007/02/07

ホイットマンの詩

「ホイットマンは感情移入、不調和のなかの調和、多様性のなかの単一性を説いた。あらゆるもの、あらゆるひととの精神的な交わり-
加うるに(それがえられる場合は)官能的な結合-は、いろいろな序文や詩のなかでくり返しくり返し、
はっきりと提案されている気まぐれな旅である。この全世界に向かって提案したいという熱望が、
また彼の詩の形式と調子に命令を与えもしたのである。ホイットマンの詩は読者を賛美して新しい存在状態(政治制度を目論んだ「新秩序」
の小宇宙)へと誘い込む精神のテクノロジーである。その詩はマントラのように機能的で、エネルギー荷を伝導する手段なのである。反復、
大げさな律動、休止なしの行送り、それに押しの強い詩語は読者を精神的に空中に浮かばせ、過去と、
アメリカの願いの共同生活とに同化できるような高みに彼らを押し上げるのを意図した、世俗的霊感の噴出である。しかし、
他のアメリカ人との同化のこのメッセージは、今日の私たちの気質には馴染みないものである。」


(「写真論」 スーザン・ソンタグ 近藤耕人訳 晶文社)