2007/01/18

私は自分に約束した

「私は心の中で自問した-人間にとって、何が真実なんだろう? 河の色が変わるように自分が変わったとしても、
まだ同じ人でいられるのだろうか? そのときカーテンが激しく揺れて外は豪雨になり、みんなが大声で叫びながら走り回るのが見えた。私は、
ほほ笑んだ。初めて風の力を知ったことに気づいた。風そのものは見えなかったが、河にあふれる水を運び、田園地帯を形づくることがわかった。
風が男達を叫ばせ、踊らせることも。


私は目をぬぐって鏡を見つめた。そこに見えたものに驚いた。私は真紅のドレスを着ていたが、それよりももっと価値のあるものを見た。
強くて、純粋な自分の姿を。誰にも見えない、誰も取り上げることができない自分だけの思いがうちにあった。私はその風を好きになった。


私は頭をそらして誇らしげにほほ笑んだ。やがて刺しゅうした大判のスカーフを顔に垂らして自分だけの思いを包み込んだ。
でもスカーフの下に自分がいることはわかっていた。私は自分に約束した-両親の願いは決して忘れまい、だけど自分のことも決して忘れまい。」


(「ジョイ・ラック・クラブ」 エィミ・タン 小沢端穂訳)