2007/01/29

双子の姉

誰かが「彼女が着いたわ!」と叫ぶ。そのとき、彼女の姿が目に入る。その短い髪。小さなからだ。母と同じ表情。彼女は、
手の甲を口に押し当てている。ひどい試練を耐え忍び、やっと終わったことを喜ぶかのように泣いている。


私の母ではないとわかっていても、その表情は、あのときの母と一緒だ。五つの私が午後ずっと行方不明になり、
死んだものと思ったあとで私を見つけたときの母と。私が眠そうな目をしてベッドの下から這い出したとき、
母は幻ではないことを確かめようと手の甲を咬んで泣き笑いしたものだ。


目の前に、母が二人いて手を振っている。片手には、私が送ったポラロイド写真が握られている。ゲートから出たとたん双方が駆け寄り、
ためらいも期待も吹き飛んで三人でただ抱き合う。


「ママ、ママ」 三人で母がそこにいるかのように口々に呟く。


姉達は誇らしげに私を見つめ、一人が「メイメイ、ジャンダーラ」ともう一人に言う- 「妹がこんなに大きくなって」と。
二人の顔を見つめたが、母の面影はない。それでも二人の顔には見覚えがある。同時に、自分のなかの中国人の部分が見えてくる。はっきりと。
私の家族。私達の血の繋がり。長い年月をかけて、ついに私は自分のなかの中国人の部分を解き放つことができたのだ。


(「ジョイ・ラック・クラブ」 エィミ・タン 小沢瑞穂訳)