2007/03/21

カラー化は氷山の一角

1986年にテレビの実業家テッド・ターナーがMGMのフィルム・ライブラリーを買い取ったとき、
映画作品の保護の問題が一挙に表面化した。ターナーは、古い映画の主要作品100本をデジタル技術によってカラー化すると発表したのである。
「権利関係を調べてみたところ、これらの作品の所有権はわたしにあった。自分のものをどう扱おうと問題はないはずだ」と彼は主張した。
著名な映画監督や映画ファンの多くがモノクロ映画の「古典」のカラー化に抗議し、アメリカ映画協会はこれを「文化的屠殺」だと非難した。
「スター・ウォーズ」の監督ジョージ・ルーカスは1991年に、実のところ、カラー化は氷山の一角にすぎないと述べている。


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「自分の作品を切り刻まれ、色を付けられ、圧縮される映画作家の味わってきた苦痛も、
テクノロジーがこれから狙っていることに比べれば何ほどのこともない・・・・・・映画作品を創るわれわれの立場を、
アメリカが諸外国と一致協力して護らなければ、連中がわれわれが起用しなかったスターに、われわれの書いたこともない台詞を喋らせ、
われわれが奉仕しようなどとは夢にも思わなかったような目的や主人に、全面的に協力されているさまを、
いつか見せつけられることになるのだろう。」



(「リコンフィギュアード・アイ」 ウィリアム・J・ミッチェル 伊藤俊二監修 福岡洋一訳 アスキー出版)