2007/06/07

新自由主義派の理論家たちは民主主義に対して根深い不信を抱いている

新自由主義派の理論家たちは民主主義に対して根深い不信を抱いている。多数決原理による統治は、
個人の諸権利や憲法で保障された自由にとって潜在的脅威だとみなされている。民主主義はぜいたく品とみなされ、
政治的安定を保障する強力な中産階級の存在と結びついた適度な豊かさのもとでのみ実行できるとされている。したがって、新自由主義者は、
専門家やエリートによる統治を支持する傾向にある。民主主義や議会による意思決定よりも、
行政命令や司法判断による統治の方がずっと好ましい。新自由主義者は中央銀行などの主要機関を民主的な圧力を守ろうとする。
法の支配や立憲体制の厳格な解釈を軸にすえる新自由主義理論の前提では、紛争や対立は法廷で調停すべしということになる。
いかなる問題であれ、その解決策は、法制度を通じて個々人によって追求されなければならい。


(『新自由主義』 デヴィッド・ハーヴェイ 渡辺治監訳 作品社 P96-97)