2007/06/21

フリッピング

アメリカ合衆国の住宅市場で「フリッピング」と言われるやり方がある。こわれかけた家をほとんどタダで買い、
少々うわべの修理を施して、法外な値段で売りに出す。そのさい売り手は、
家を手に入れるという夢を実現したい収入の低い家族のために住宅ローンをアレンジしてやる。その家族はローンが払えなくなるか、
ほぼ確実に襲ってくる重大な修理がまかえなくなって、家は売り手に戻る。これは完全に違法とは言えないが、その結果、
低収入家庭が犠牲となり、彼らの持っている貯蓄はすべて詐取されることになる。これこそ略奪による蓄積だ。こうした種類の(違法、合法)
行いは枚挙に暇がなく、資産はこのようにある階級によって恣意的にコントロールされているのである。


(『ニュー・インペリアリズム』 デヴィッド・ハーヴェイ 本橋哲也訳 青木書店)