2008/11/30

法外の法

日本では、満場一致の決議さえ、その議決者をも完全に拘束するわけでもないし、国権の最高機関と定められた国会の法律でさえ、百パーセント国民に施行されるわけでもないから、厳守すれば必ず餓死する法律が出来ても、別に誰も異論はとなえない。法律を守った人間はニュースになるが、破った人間はもちろん話題にものぼらない。といって全日本が無法状態なのではない。ここに日本独自の「法外の法」があり、「満場一致の議決も法外の法を無視することを得ず」という断固たる不文律があるからである。従って裁判もそうであって「法」と「法外の法」との両方が勘案されて判決が下され、情状酌量、人間味あふれる名判決となる。

(『日本人とユダヤ人』イザヤ・ベンダサン)